2012年5月12日土曜日

恒温動物 - Wikipedia


恒温動物(こうおんどうぶつ、(英: homeotherm, homoiotherm、仏: animal homéotherme、独: Homoiotherme, homöothermes Tier、露: гомойотермное животное)は、気温や水温など周囲の温度に左右されることなく、自らの体温を一定(homeostatic)に保つことができる動物を指すための用語。かつては、定温動物温血動物とも言われた。対義語は変温動物。

かつては「恒温性」は哺乳類・鳥類に固有かつ普遍の特殊形質であると思われていたため、「恒温動物」という用語は(深い検討を欠いたまま)それらの生物に対して固定的に用いられていたが、様々な生物の体温に関する様々な事実の発見が積み重なるにつれて、そうした考え方はあまり適切ではない、と考えられるようになってきており、近年 用法が変化してきたり使用頻度が減ってきている用語である。

関連した生物学用語として、「内温性」「外温性」「異温性」がある。

内温性(endothermy)とは体温が主に代謝熱で維持されている状態。外温性(ectothermy)とは体温が主に外部環境によっている状態。つまり恒温動物とは内温動物のうち、自律的に体温を制御している動物である。

異温性(heterothermy)とは、恒温動物において部位、もしくは生理状態の違いにより体温が大幅に異なることをいう。[1]

[編集] 恒温と変温

温血動物(warm blooded animals)という言葉が暗に示すように、恒温性はかつては哺乳類・鳥類に固有かつ普遍の特殊形質であると思われていた。しかし、哺乳類・鳥類以外にも様々な生物で様々なレベルの体熱産生を伴う能動的な体温調節の例が発見され、哺乳類・鳥類においても、ナマケモノやカッコウのように変温動物といっていい体温調節を行うものがあることが知られるようになった。「哺乳類は恒温動物」・「魚類は変温動物」のように単純に2分類することや、ある生物をさして厳密な定義なしに恒温生物か変温生物かを議論することは少なくとも科学的とは言えないものである[2]。 ある生物の体温調節能力や機構を調査することはともかくとして、生物の体温調節能力を恒温と変温に分類することは特に意味があるわけではないので、学問的に厳密な定義を提唱することは近年行われていない。つまり、変温~内温~恒温は連続的であり、明瞭に線引きできるものではないし、されていない。
このような煩わしい議論や定義付けを避けるため、近年は'体温が主に代謝熱で維持されている'という意味での「内温性」「内温性動物」や、「高度な体温調節能力がある」といったような表記で留める例が増えている。哺乳類・鳥類以外の生物を記述するときに、あえて「恒温性」と表現し、高度な体温調節機能があることを強調することもある。

恒温が「恒に体温を一定に保つ」ことと考えるなら、そのような動物は発見されていない。「積極的な体熱産生と放散を伴って能動的にある範囲に体温を保つ」こととするならば、動物では様々な分類群に分布する(珍しくもない)生理特性である。例えばウミガメ、ネズミザメ類やマグロ類、昆虫類にはほぼ一定の体温を保ち、0℃の気温や、10℃の冷水の中でも活発に活動するものがある。この時の体温はクロマグロで35℃、ヒトやセイヨウオオマルハナバチでは40℃付近であるが、アカウミガメで23℃付近、ホホジロザメで26℃付近と比較的低い。つまり、アカウミガメやホホジロザメは〝冷血〟の〝恒温動物〟である。また、カツオやアキアカネ、カモノハシ、カッコウ等の活動時体温は外水(気)温よりも5~10℃以上高く 、40℃に達することもあるが、外温や運動の有無で体温が浮動し安定しない。つまり〝温血〟の〝変温動物〟である。このことからもわかるように、よく見る左図のような温度分布図は、その時の体温の高低を示しているに過ぎず、恒温動物と変温動物との差を象徴的に表すものではない。温血動物という言葉が用語として不適切なゆえんでもある。
植物においてもザゼンソウ、ヒトデカズラ(Philodendron selloum)、ハスなど、花器を開花期間中一定の温度に保つものが存在する。例えばザゼンソウでは4℃から15℃の外気温中で、肉穂花序の温度を24℃±1℃以内に保つが、これは多くのほ乳類や鳥類の体温日周変動幅より小さい。ただし、植物や昆虫における体温維持は花器や胸部など必要な部分および期間のみであることが多い。なお、鳥類やほ乳類も厳密な意味では全身の体温を保っているわけではない。耳介や足先などは大きく体温が変動する。ただし、日周変動の幅が1℃以内の体温(ヒト程度)を生涯保つような種の多くは、ほ乳類か鳥類である。


肥満した動物

ウミガメやマグロでは若齢個体は典型的な変温動物であり、成長するに従って体温調節能力が上がる。ほ乳類や鳥類でも小型の若齢個体の体温調節機能は不完全で体温変動幅が大きいことが多く、親の庇護や温暖な環境で成長する。成体の体温も一定ではなく、休息時、活動時、生殖時、疾病時、部位などで体温が異なるのは一般的であり、場合によっては大きく異なる(異温性)。例えばカモやツルなどの低温地域に住む鳥類では足の体温が外気温程度まで低下することは珍しくなく、冬眠時のヤマネや小型コウモリ等の体温は全身において外気温に近いところまで低下する。ハチドリや小型コウモリでは活動時の体温は40℃程度だが睡眠時は外気温程度まで低下するものがある[3]。この程度の体温制御を行う昆虫はヤンマやスズメガをはじめとして数多く存在する。すなわち、ハチドリやコウモリが異温性の恒温動物であるとするならば、ヤンマやスズメガも恒温動物といえる。ナマケモノやカッコウに至っては外気温や運動の有無により活動時の体温は大きく変動する。ここまでくると恒温動物とは言えないであろう。ミツバチは産卵から死亡時まで体温を30℃以上に保つ。しかも、10℃以下では動けなくなり、それが一定期間以上続くと死亡する。セイヨウミツバチは1種で熱帯から極地まで分布し、アイスランドの厳冬下でも巣外活動こそ行わないが冬眠することはない。蓄えた食料で産卵・育児さえも行う。つまり、多くのほ乳類や鳥類よりも恒温動物的に活動するのである。しかし、ミツ� �チは巣内活動時では体温を主に体外の気温(=巣内温)によっているため、恒温動物どころか内温動物にも入れないことが多い。

[編集] 恒温性の意義

利点: 恒温性の意義について、よくある誤解は「温度が高いほど化学反応が速く進むために体温を高く保つ」である。これならば最低体温は安定するが、最高体温はある程度変動するはずであり、人間の発汗のような冷却機能は不要なはずである。生物体内の化学反応はほぼ全て酵素反応である。酵素は温度により活性が変化するために単純に高温で反応が早くなるわけではない。また、酵素反応の最適温はその生物にとっての最適温でもない。例えば多くのアミラーゼ(デンプン分解酵素)は60℃近辺に反応最適温を持つが、それを産生する多くの生物(ヒトや麹菌など)は60℃では死亡してしまう。生物には活動最適温があり、必要以上の体温上昇は危険である(熱中症)。つまり、恒温性の意義とはより安定して活動最適温付近の温度を維持することである。このことにより外気温の変動にかかわらず、常に安定した体温の元、高い水準の生理活性を維持できることになる[要出典]。そのことにより、より広い温度域で生活できるようになる[4]。このため、動物では気候帯を越えるような広域分布種の多くは恒温もしくは内温性である。
また、デリケートな生理反応におけるエラーを極小化できる[要出典]。それゆえ、恒温性は活動的な生物で生じやすく[要出典]、より非活動的な生物、例えば植物ではごく少数例しか発見されていない。恒温性とされるのは2007年現在世界で上記のハス・ザゼンソウ・ヒトデカズラの3種のみ、内温性のものは低温地域を中心に認められるが多くない。植物における内温性や恒温性は訪花昆虫の誘引や最もデリケートな生殖細胞における受精や減数分裂などを正常に行うためであろう[要出典]とされている。大型樹木は早春の萌芽期初期には周囲の雪が融解するほど体温を上昇させ、幹で数度の温度を保つ。このことにより、零度以下の気温の中で糖類の転流を促進する。これも恒温性とは見なせないが、広くとらえれば内温性とは見なせる。


猩紅熱の犠牲者年

欠点: 恒温といえるほどに体温を安定させるためには産熱と冷却を行わねばならない。後述するように体温を上昇させることは産熱を盛んにし体表面の断熱性を向上させればよいので比較的容易である。しかし、外気温以上に冷却することは困難である。そのためか、多くの恒温動物、特に放熱に不利な陸上生物では住環境温度よりもかなり高い体温(30-44℃)を持つのが普通である。多くの鳥類やほ乳類、ミツバチなど高度の体温恒常性を持つ生物では、低気温時のみならず休息や睡眠時にもさほど体温を下げられない(下げると死亡する。=低体温症を参照)。この体表から逃げる熱を補うための熱を体内で作り続ける=餌が大量に必要であり、食糧確保の面で変温動物よりもリスクが大きい。おおざっぱに言って、同程度の体重の変温動物の30� ��程度(双方最適体温の時。同体温で比べれば5倍程度)の代謝率(≒必要食料量および産熱量)であるとされている。例えば、コアラとナマケモノは樹上で木の葉を摂食し、ほとんどを眠って過ごすというよく似た生態と同程度の体重を持つ哺乳類であるが、典型的な恒温動物である前者の日当たり摂食量は500gに達するのに対し、典型的は変温動物である後者は10g程度である。
このため、体温の維持が難しい寒冷地に生息する小型種を中心に休息時や冬眠・睡眠時、低気温時などでは維持設定体温を下げる、もしくは体温を維持しないという適応するものが存在する[3]
ただし、一般論として、変温動物も恒温動物も体重が大きくなればなるほど体重あたり代謝率は下がる(Kleibarの法則;全代謝量は体重の3/4 乗に比例)ことに留意する必要がある。例えば体重5g程度の典型的な変温動物であるニホンカナヘビ>体温維持と体格および外部形状

ベルクマンの法則と体格
同じ体型であれば、体表面積は体長の2乗に体重は体長の3乗に比例し、体が大きいほど体重あたりの体表面積は小さくなる。つまり体格が大きい方が冷却には不利、保温には有利となる。このため、恒温動物では近縁あるいは同種の間では寒い地域では体が大きく、暑い地域では体が小さいくなる傾向がある。これがベルクマンの法則である。例えばトラではシベリアの亜種が最も体格が大きく、ジャワの亜種で最も小さい。イエスズメでは、北米にヨーロッパから移入されてから150年程度でフロリダの集団とカナダの集団では亜種レベルの体格差が生じたことが知られている。同一個体中でも、ウミガメやマグロ類では熱帯や亜熱帯の浅海域で成長し、大型になるに従って高緯度地域や深海域に活動範囲を広げる。例えばオサガメの成体 は亜寒帯域まで生息するが、産卵は主に熱帯域、幼体は亜熱帯域までしか認められていない。クジラ類では食料が少ないにもかかわらず温帯域や亜熱帯域まで移動して産仔を行う種が多い。亜寒帯以北で生活環を完了するネズミザメでは一腹産子数は4匹以下と少なく、体長80cm程度以上の大きな子供を産む。一方、比熱・熱伝導率が大きく放熱に有利な水中環境では大型化できる。クジラ類は海水に熱を逃がす事ができる為例外的に巨大化しているが海水に浸かっていないと体温が上がりすぎて死に至るといわれる。また、大型のマグロ類を釣り上げたときは速やかに冷却しないと急速に体温が上昇するため肉が傷み(ヤケ)商品とならないことが知られている。
最小のほ乳類と鳥類であるチビトガリネズミ、キティブタバナコウモリやマメハチドリ、前述のスズメガやヤンマ類の体重も1.5g程度以上であり、1個体のみで体温を安定的に維持するのはこの辺が限界であろうとされている。彼らは大量の餌を採るが、その多くは体温維持にのみ使われているわけである。ハチドリやコウモリはあまりの小型化したため恒常的な体温維持が難しくなったため、前記のような変温的な体温制御をおそらく再獲得したのであろう。が、その制御は不完全なため[5]か、よく似たニッチ(生態的地位)を占めるスズメガやヤンマに比べ分布域、種数ともに大幅に少ない。トガリネズミは相当するニッチを占める動物が居ないためか全世界的に分布する。しかし、地上徘徊性食虫動物としては、同程度の大きさのオサムシやムカデ、カエルやトカゲより繁栄しているとは言い難い。このように小型動物のニッチの多くは変温的体温調節のできる昆虫を初めとした節足動物、爬虫類、両生類、魚類などで占められている。


最高の減量式


慣性恒温性と運動による恒温性
大型の魚類や爬虫類で体温変動が少ない物を「慣性恒温性」として区別することが多い。しかし、鳥類やほ乳類でも大型の物の方が体温が安定しているのが普通である。慣性恒温性(Gigantothermy)とは体温調節能力がなくても(変温動物であっても)体格が大きければ、比較的安定した高い体温を保てる、という意味であり、巨大な体温が安定した生物はGigantothermyであるという意味ではない。また、当初は単なるGigantothermyであるとされたウミガメ類もそこから類推されるよりも体温が安定しており、低温の餌を食べても深海の低温部に潜っても体中心部の温度はほとんど変動しない。このことから、現在ではウミガメ類に体温調節能力がないとは考えられておらず、オサガメではその体温調節機構もかなり詳しく調査されている。ウミガ� �やネズミザメを慣性恒温性動物として区別するのならば、その10~100倍以上の体重を持つゾウやクジラは慣性恒温性動物として区別されねばならない。また、ゾウガメ(大抵のウミガメより重い)、イリエワニ(大抵のマグロやネズミザメよりも重い)のように大型でも体温が安定しないものもある。大型サボテン類は100kg以上の生きた部分を持つものも多いが体温は安定しない。産熱部分である体格が大きいことは相対的な低温下で体温を保つ上で有利ではあるが、それだけで体温を保てるものではない(数百リットルあっても風呂の湯はすぐ冷めることを思い出して欲しい)。むしろ、体温維持能力を持たないのに大きな体格を持った場合、寒冷な季節にいったん体温が下がると回復がかえって困難である(熱容量が大きく日光浴程度� �は体温が上がらない→体産熱も増えない→活動を開始できない)。逆に温暖な季節ではそのような巨大な体格では放熱がうまくいかず熱死してしまう。つまり,温度が比較的一定した条件でないと熱慣性に頼った恒温性は機能しない。現実にも、変温動物では北方ほど小型化することが多く(逆ベルクマンの法則)、ニシキヘビやワニのような活動的な大型の変温動物は熱帯や亜熱帯に分布しており、寒冷な地域には分布していない。つまり恒温性大型動物を慣性恒温性動物として区別する意義はほとんどないであろう。
現生動物で慣性恒温性を積極的に利用しているとされるものには、皮肉なことにほ乳類のラクダがある。ラクダでは飲食物が欠乏する場合、昼夜温の差が激しい砂漠において、夜は低体温を許容し、昼は高体温を許容する。このことにより、その大きな体格による熱慣性を利用して、比較的低コストで一日を通しての体温変動を少なくしているとされている(アフリカゾウも同様のことをしている可能性が指摘されている。もしそうであれば、ゾウはGigantothermと本当にいっていいかもしれない)。慣性恒温性とはいえないが積極的に大きな体格による熱慣性を利用している他の例としては、ガラパゴスのウミイグアナがある。ウミイグアナは日光浴をして体温を上げた後に冷たい海中で海藻を摂食する。ウミイグアナが同所的に生息する� �クイグアナよりも体格が大きいのはこの時に熱慣性が大きいことが有利であるからであるとの説がある。
静止時、つまり運動による産熱がない状態で、体温を保てるかどうかで恒温性かどうか区別することもある。マグロ類やネズミザメは生きている限り運動を続けるので、わざわざ別途の産熱機能を持つ必要がない。そして10℃水中で長時間体温(そして生命も)を保てるほ乳類や鳥類は少数派であるが、ネズミザメやマグロは保てる。つまりこれも、深層意識として「鳥類やほ乳類は特別優秀」という意識が働いている為にする区別であろう。

アレンの法則と表面形状
体積に対する表面積の割合が大きくなる=外気温の影響を受けやすい、という観点から突出部である尾、耳、羽などが寒い地域では小さく暑い地域では大きくなる傾向も認められる。こちらはアレンの法則と呼ばれる。アレンの法則でもわかるように、体積に対する表面積の割合を小さくする必要性から、外部形状の自由度が低くなることも指摘されている。このため、恒温動物はニッチの近い近縁の変温動物と比較して丸い印象を与える体型、すなわち、より球に近い体型をしている。例えば、土中や狭いところを主な活動場所にする場合、ヘビ、トカゲやミミズのように細長い体型やゴキブリのように平面的な体型が有利なことが多い。しかしモグラやネズミなどの恒温動物ではこのような体型をしている種は認められていない。ハ� �カマキリやナナフシ、カレイのような極端な隠蔽形状を持つ種も認められていない。通常は体温を積極的に維持しないニシキヘビ類において抱卵時は安定した高体温を保つものがあるが(アミメニシキヘビでは100日程度の抱卵時は華氏88~91度≒29~33℃を保つ。他のニシキヘビも同程度)、このときは筋肉を震わせて産熱量を上げると共に、卵を中心としてトグロを巻くことにより露出表面積を下げる。[6]
同じ程度の大きさのハチであっても、ハナバチ類(ミツバチ、クマバチ、マルハナバチなど)は内温動物的、カリバチ類(ジガバチ、アシナガバチ、スズメバチなど)は、ほぼ完全な変温動物であることが多い[7]。カリバチ類は光沢がありスマートな形状をし、比較的羽も長いのに対し、ハナバチ類は丸く毛が生え羽も短く、もこもこした印象を与える。狩りバチ類が恒温性を持たないのは、おそらく他の動物を狩る必要があり、ハナバチ類のような形状では運動性が落ちてしまうからではないかと思われる。内温による活動時間の延長や安定した運動性能によるメリットよりも、毛が生えることによる空気抵抗の増加や、丸い体型による運動性の低下によるデメリットの方が大きいのであろう。


[編集] 体温調節の方法

ミツバチ(セイヨウミツバチの働き蜂の体重:0.08~0.15g、ニホンミツバチはやや小さい)も体格が小さく、しかも体温を下げると死につながる。しかし、断熱性に優れた閉鎖空間である巣内にて集団で休息することで温度が逃げないようにしている。このことで小型動物における恒温性によるエネルギーの浪費を上手く回避している。活動時、特に飛行時はエネルギー消費=体熱産生が大きいため、ミツバチのような小型動物でも体温が保てる。このような適応はもちろんミツバチだけではなく、小型の恒温動物は閉鎖空間で丸まったり集団で休息するのが普通である。ミツバチは暖かい巣内(正確には蜂集団内)で休息し「エンジンを掛けてから」飛び立てるため、早春から晩秋(外気温10℃以上)まで広範囲の気温下で活動できる。� �た、死につながるため、高温期以外は巣外(正確には蜂集団外)では休息しない。このようにして巣外活動時を含めニホンミツバチでは40~41℃、セイヨウミツバチでは30~36℃の体温(正確には胸部温)を維持している。巣温が下がりすぎたときは胸をふるわせると共に蜂集団の個体密度を上げ、冬期でも、蜂集団内温度をほぼ一定温度(ニホンミツバチは33~36℃。セイヨウミツバチは冬季かつ非育児期は20~22℃、それ以外は30~35℃)に保つ。上がりすぎたときは水を撒いて旋風行動を取ることで冷却する。
より積極的に巣構造を用いて体温を保つ例としては、オオキノコシロアリ類があげられる。ミツバチとは異なり彼らの体そのものにはほとんど体温維持機能はないと思われるが、巣の構造と栽培菌類および自身の呼吸熱により巣内温度を高度に安定させる。homeotherm(自律的体温恒常性を持つ生物)という言葉には〝巣を用いてはいけない〟という規定はないため、字義通りに解釈すればオオキノコシロアリは恒温動物である。
大型の不均翅亜目、例えばオニヤンマでは40℃程度、ヤンマ類ではそれより数度高い程度に飛翔中の体温(正確には胸部温)を保っている。高気温下では飛翔速度を下げ、低気温下では飛翔速度を上げる(熱産生を大きくする)こと、低気温時の飛翔前には羽を震わせるウォームアップと呼ばれる行動で体温を上昇させること、過熱時には腹部を持ち上げたオベリスクと呼ばれる姿勢をとって太陽光を受ける面積をできるだけ少なくすることなどによってこの体温を維持していることが知られている。低体温時の飛行前ウォームアップは内温性昆虫では一般的で、種によっては数℃の体温・気温時に30℃以上まで胸部温を上昇させることができる。なお、不均翅亜目いわゆるトンボ類や完全変態昆虫には恒温、とはいえないまでも外気温よ� ��も10℃以上高い体温を保つことができる内温動物が多種類存在する。

マグロやネズミザメでは生涯泳ぎ続けることにより熱産生を行う。それと共に、体表面と体内部との間に奇網とよばれる、血管が絡み合った対流式熱交換器がある。これによって体中央部からの血液が暖かいまま冷たい体周辺部へ直接流れないように、また体周辺部からの血液が冷たいまま暖かい体中央部へ流れ込まないようになっている。カモ類など寒冷地の水鳥でも足と胴体の間にこの奇網がある。また、マルハナバチやミツバチも発熱部である胸部と放熱部である腹部の間に対流式熱交換器を備え、そこの血流量を調節することで放熱量を制御している。
このように体温維持の機構は様々である。

以下にはよく調べられているほ乳類や鳥類について記載する。あくまでほ乳類と鳥類にて成立するもので、しかも一般論ではない記載もあることに注意すること。例えば発汗による体温低下は、水や塩分の浪費につながるため、ほ乳類のうちでもヒトやウマなどごく一部の種しか行わない。逆に言えば、人間や馬は発汗による効果的な放熱により高温下でも激しい運動ができる。

[編集] 恒温性と成長速度

現生動物において比較するかぎり、体温の恒常性の有無と成長速度、あるいは急速な成長期の有無には関連性は特に認められない。例えば、典型的な恒温動物であるヒトは誕生してから15年で体長で4倍・体重で20倍程度に成長するに過ぎないが、典型的な変温動物であるカイコは30日で体長で30倍・体重で5000倍にも成長する。同じく変温動物であるニホンカナヘビでは1年で体重で20倍程度、人間と同程度の成体体重の陸上脊椎動物であるアミメニシキヘビ(15歳程度)の誕生時体重は100g程度(つまり5~600倍)であり、ワニの成長速度はこれよりも速い。
また、完全変態昆虫の多くは幼虫期は非常に急速に成長し、成虫はほとんど成長しない。つまり成長期が存在する。しかも、スズメガを見ればわかるようにほとんど成長しない成虫は恒温性であっても急速な成長をする幼虫期は通常典型的な変温動物である。四肢動物でも同様で、典型的な変温動物であるアマガエルやアベコベガエルは幼体であるオタマジャクシは急速に成長するが、上陸後のカエルの体重増加は非常に緩やかである。ニホンカナヘビでも最初の一年は体重が急速に増加するがその後(5~6年の寿命がある)の体重増加は緩やかである。
これらは決して特殊な例外ではない。逆の例(恒温・内温動物の方が成長が早い・成長期がある)を例示することも極めて容易である(上の例を、ヒト→ゾウガメ、カイコ→カンガルーやミツバチ、ニホンカナヘビ→ウサギ、アミメニシキヘビ→ウシ、ワニ→ライオンなどとし、倍率なども適宜動かせばよい)。つまり、化石生物などで個体の成長速度が速いことや、急速な成長期があることが類推できる形質が認められても、恒温動物であろう、もしくは逆に変温動物であろうという推定は成立しない。ただし、俯瞰的に見れば体温調節に投入するエネルギーの少ない変温動物の方が成長が早い傾向にある[要出典]。特に昆虫類や線虫類の内でもr戦略傾向を強く持つ種では成長速度が極めて速い(例えば線虫C. elegansでは、60時間で300倍)。


[編集] 恒温・変温と硬組織における成長線の有無

また、骨や歯、角、鱗、耳石のような硬組織における年輪のような成長線の有無で恒温と変温の推定をすることもあるが、これはその個体の当該硬組織の成長速度に大きな変動があり、かつ、それが残ったことを示しているに過ぎない。つまり、成長線があったからと言って、変温動物である、もしくは無ければ恒温動物である、とはいえない(つまり化石などによる体温調節能の憶測は非常に困難)。現生生物の例では、通常典型的な恒温動物である大型哺乳類にも成長線が形成されるものがたくさん存在する。クジラ類の歯や骨、ウシ類の角や象牙には明確に成長線があり、シカ類の骨格や歯にもしばしば認められる。また、通常、成長線のできないヒトの骨においても、季節的に飢餓状態に置かれたことによると思われる成長線(� ��餓線:ハリス線、Harris' Line)が認められる例がある。野生のイノシシの牙には通常明瞭な成長線があるが、飼育下のブタでは観察されない。これも野生下では栄養状態に季節的変動があるが飼育下ではほとんど無いことが原因であろう[要出典]と推定されている。
季節変動のある地域で数年以上にわたって成長し、成長が季節変動する変温動物は数多くあるが、その硬組織に成長の変動が残るとも限らない。例えばセミやロブスターは何年にもわたって成長する変温動物であるが、硬組織を脱皮によって捨てるため成長線は残らない。当たり前であるが季節変動のない地域に生息している変温動物、例えば熱帯のワニ類やニシキヘビ類には基本的に成長線は認められない。


  1. ^ 生物学辞典第4版より要約
  2. ^ ちなみに2008年現在、多くの一般的な百科事典では「(全ての)ほ乳類・鳥類(のみ)が恒温動物」「それ以外の(全ての)動物は変温動物」としている。これは恒温動物(homeotherm:体温を自律的に一定範囲に保つもの)の言葉の定義からすると明白な誤りといえる。恒温動物もhomeothermも単語には動物の分類属性はなにも示されていない
  3. ^ a b ほ乳類では他にハムスター、ヤマネ、ハツカネズミなどで、鳥類ではハト、ペンギン、オオハシカッコウ類などで非冬眠・低気(水)温下の体温低下や体温変動幅の増大が確認されている。また、単孔類やカツオ等も含む多くのマグロ類などでは外気(水)温によって安定する体温が異なる
  4. ^ 例えば、フユシャクとマルハナバチは共に0℃の外気温でも飛翔できる。しかし、変温動物であり、最適体温が低いフユシャクは冬しか活動できないが、内温動物で活動最適体温そのものは高温であるマルハナバチは春~秋でも活動できる
  5. ^ 例えばマルハナバチは蜜量が多い花では低気温下でも安定した高体温で高速に採蜜するが、蜜量が少ない花では高気温時に低体温(変温)で採蜜する。また、スズメガやヤンマは激しい活動を行わない幼虫時は典型的な変温動物である。ハチドリではこのような細かい体温制御方法の変更は報告されていない
  6. ^ 逆は真ではない。つまり丸い形状や、休息時などに体を丸める動物が恒温動物であるということではない。リクガメのような丸い体型、ヘビや蛾の幼虫など休息時には体を丸める変温動物は多い。つまり丸まって出土した化石生物(メイ・ロンやトリナクソドン、三葉虫などが有名)が恒温動物であったということにならない
  7. ^ ハナバチにも変温動物的、カリバチにも内温動物的な種は存在する。単独生活の小型ハナバチはほとんどが変温動物的である。逆に北方系の中型スズメバチであるホオナガスズメバチの飛行時体温は高度に安定している

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